マーキスからある程度話を聞いた凛は、早々に部屋を退出して自室に戻った。
夕食など、とる気にはなれなかった。
マーキスの話によれば、慎と京さんを襲ったCランクの魔獣は二体。
だが、特異体質のようだ。
まず名前があること。
大柄な青年のヒロ。
華奢な少年のレイ。
レイは心を読む能力がある。
何より、魔獣の気配を感じさせないこと。
凛は、ふと思う。
今日、あの広場で会ったレイと言う子供はもしかして同一人物?
それなら、なぜあの子供が凛を聖職者だと見抜いたか納得できる。
それに、あの時言っていた「お兄ちゃん」とは慎のことか?
ふっ、と凛は鼻で笑った。
そして、意志を固める。