聖職者


つまり、人体実験である。

それは神が許すはずもなく、成功するわけが無い。

多くの捕虜が死に、当時の科学班の者も気が狂い、大勢の自殺者が出た。

そんな中、戦争は集結した。

勝敗は言うまでもない、相手国の勝利だった。

この戦争は騎士団に「再起不能」と言われるほどの大きな痛手を残した。

愚かな大元帥は暗殺され、科学班員はいなくなり、それに負い目を感じた本部長が自殺した。

聖職者は一人残らず消え、聖職者の代わりに駆り出された多くの者も死んだ。

この事件は「騎士団壊滅事件」と呼ばれ、騎士団の上層部のみに語り継がれてきた。

そんな理由から、地下5階分の使われ方は普通の者は知らない。

もちろん、今は人体実験など行われていない。

ただ、永久に取れないであろう腐敗臭と、多くの怨念のため地下5階から地下2階までが閉鎖されている。

1階、メインエントランス・ロビーの一つ下の地下1階だけは今も使われている。

ただし、一年に数回だ。

科学班が爆発を伴うと予想される実験を行うのだ。

科学班員も地下には寄りたがらないと言う。