連絡を受けてから、李楼と医療班長の二人は五分もしない内にマーキスの部屋へとやってきた。
マーキスの説明を粗方聞いた二人は、絶句した。
凛に対するヴォルドールがした行いは二人ともよく知っており、当時は反対してマーキス側についていたからだ。
李楼は、マーキスの頼みもあり、まずは紅茶を入れにかかった。
医療班長は直ぐ様凛の様子を伺う。
いまだ凛の精神状態は不安定だった。
目はあちらこちらを泳いでおり、身体は小刻みに震えている。
息は浅く、早くなっている。
手をそっと握ると氷のように冷たかった。
自分が目の前にいるというのに、凛は自分のことが視界に入っていない。
医療班長はそう思った。

