聖職者


後悔の念がマーキスを責める。

それが強くて、リビングの扉に一歩も近付けない。

それを不思議に思ったヴォルドールは自らリビングの扉に近づいていった。

マーキスがそこまで驚いて確認もしない人物とは誰なのか、自分が確認をするために…

扉を開くと、ひどく青ざめた凛が座り込んでいた。

その近くにはゴーレムが一機飛んでいる。

凛はゆっくりと首を回した。

その目とヴォルドールの目が会う。

「これはこれは…」

ヴォルドールはそう言うとニヤリと笑った。

「凛ではないですか。随分と美しく成長されたもんだ」

「……ヴォル…ドー…ル」

今にも消え入りそうな声で凛が呟く。

あの地獄のような日々の中、度々見た時と変わらない顔がそこにはあったのだ。