聖職者


マーキスはかなり口調が荒くなりながらもヴォルドールと話していた。

そのことに集中しすぎてしまい、まわりの変化に気が付かなかった。

いつもなら扉の向こう人がいたらすぐに気付き、それも気配で誰だか分かるのに、今日は気付かなかった。

だから、リビングの扉が僅かな音を立てて動いた時、とても驚いた。

だが、すぐに誰が扉の向こうにいるのかすぐに分かった。

自分が夕食のためにと彼女をここに呼んだのだ。

会話に集中するあまり、時間の経過に気付かなかった。

日はすでに沈み、夕食時であるというのに…

「(しまった!!やっちゃった…、寄りによって凛にこの話を聞かせるなんて…)」