彼、つまり、指示者の名前はヴォルドール、当時の騎士団の本部長であった。
李楼の前任に当たる。
科学班の出身で、聡明さにおいて彼の右に出るものはいなかったと言う。
研究にも余念がなかった。
彼が言うには、凛はただの聖職者ではないらしい。
力の色が銀だと言う。
それを聞いたとき、さすがにマーキスも耳を疑った。
聖職者の力はかつて神が一部の人間に与えたものだ。
その神の力は銀色だった。
そう、銀の力とは神の力なのである。
神の力をもつ子は神ではないのか、とヴォルドールは研究をしていたと言う。
マーキスは反論した。
いくら何でも、子供は研究の対象ではないと言ったのだ。
だが、彼は聞き入れようとはしなかった。
聡明で研究熱心だった性格が仇となり、彼の人格を変えてしまったのだとマーキスは思った。

