「もちろん知っています。指示したのは私ですから」
会話の相手が答えた。
凛はこの言葉を聞いた瞬間、マーキスの会話の相手が誰なのかすぐに分かった。
同時に、過去の出来事がフラッシュバックしてくる。
あれは、まだ凛が幼い頃だった。
凛は窓のない暗くジメジメした部屋に閉じ込められていた。
物心ついた時からそこにいた。
だから、当たり前に感じていた。
今思えば異常である。
あれは牢獄だった。
毎日与えられる食事には虫がたかっていた。
石造りの壁には苔が生えていた。
布団はすぐにかびてしまうため支給されず、わらの干し草のようなところで寝ていた。
唯一、トイレのみは部屋とは呼べない空間から出ることができた。
風呂など月に一度入れれば、良いほうだった。

