聖職者


「じゃあね、凛お姉ちゃん」

レイがそう言うと、突如ものすごい突風が吹き荒れた。

そのあまりの凛は思わず目をつぶる。

風が止んだ次の瞬間、凛は周りに人間のいる広場に立っていた。

凛がレイに出会う前と、何ら変わらない風景がそこにはあった。

きゃっきゃっと楽しそうに遊ぶ子供たち。

ベンチに座り新聞を読む初老の男性。

レース編みをしながら世間話に花を咲かせている若き母親たち。

そして、変わらず美しく煌めく噴水。

「…何だったの?」

凛はぽつりと呟いた。

辺りを振り替えってレイの姿を探すが、いるはずが無かった。

あれ程見とれていた噴水の水も、今はなぜかそれ程美しく感じない。

凛は足早に広場を立ち去った。