「ほら、ついたぜ」

急に声を掛けられ、凛は顔をあげた。

そこで、自分達が本部の門の前に立っていることに気付く。

考え事をしている間に、到着していたのだ。

荘厳で重圧感のある造りのこの門は、高さ10メートルはあるだろう。

細部に渡って繊細な模様が彫り込まれている。

慎は門の前に立ち、門に向かって右手の平を突き出した。

「我、神に見入られし者、ここに帰する」

慎がそう呟くと、門は古びた音を立てて開いた。

慎と凛は門を通り抜けた。

彼らがいなくなると、まるで門は生きているかのように、独りでに閉じた。