聖職者


凛の直感が、この状況がひどくまずい事を告げている。

レイは凛の強ばる表情に面白みを得たのか、甲高い声で笑いだした。

「そんなに怖い顔しないでよぉ!今日の僕は遊びにきてるんだからぁ、お姉ちゃんを殺さないよぉ」

「…どうして聖職者だと分かったの?」

「同じ匂いがするんだよぉ」

「匂い?」

「うん。僕の大嫌いな、聖職者の力の匂い」

変だ、と凛は思う。

力に匂いはない。

だが、気配はある。

気配のことを匂いだと思っているのだろうか。

だが、普通の人間に匂いは分からない。

この子供は何?

レイは凛の心を読んだのか、満足そうに笑った。