「お姉ちゃん、名前何て言うの?」
「…凛」
「凛かぁ。可愛い名前だねぇ」
子供はそう言うと、くるりと回った。
身につけている華やかな、ひらひらとした服が舞う。
「僕はレイだよぉ」
「…僕?男の子?」
こんなに可愛い服を着ているのに?
「ひっど〜いなぁ!どっから見ても男の子でしょ!」
レイは凛の言葉に、少しふくれたように言い返す。
「この服は、可愛いから着てるんだよぉ」
服の裾を軽く摘んだレイは、何かを見透かすかのように凛を見た。
そしてまた、見た目に合わない不気味な口元だけの笑みを浮かべる。
凛の表情はさらに強ばる。

