聖職者


移動術の空間は光の一切届かない暗やみだ。

だから、移動術を抜け出した時、あまりの陽の光の眩しさに目が眩んだ。

おそるおそる目を開けると、目的地の広場に着いていた。

かなりの広さがある。

中央には大きな噴水があり、耐えず水が吹き出していた。

その水が光にあてられ、まるでダイヤモンドが舞っているかの様だった。

あまりの美しさに凛は息をのむ。

そして噴水に向かってゆっくりと歩いていった。

そのまま噴水の縁に腰掛け、辺りを見渡す。

きゃっきゃっと楽しそうに遊ぶ子供たち。

ベンチに座り新聞を読む初老の男性。

レース編みをしなが世間話に花を咲かせている若き母親たち。

そんな当たり前の風景が、凛にはとても幸せに感じた。

そしてまた、噴水に目を奪われる。