聖職者


「大丈夫ですか?!」

医療班長はバタンッと大きな音を立てて、本部長室の扉を開いた。

息は切れている。

扉の音につられたのか、本部長室にいる全員の視線が集まってくる。

ソファには凛とマーキスが座っていた。

李楼は机にもたれ、顎に手を添えていた。

凛がきょとんとした眼で医療班長を見てくる。

「あぁ、こっち」

李楼はそう言うと医療班長を手招きした。

医療班長は早足で李楼に近づく。

「凛が記憶喪失かもしれないって思ってね」

李楼はぼそっと医療班長に耳打ちをした。

「わかりました」

医療班長はそう言うと、凛に歩み寄る。

凛はまだ現状を理解できてないのか、何事かと医療班長を見ていた。