ベッドには凛が座っていた。
洗いたての看護服に身を包み、ボーッとしていた。
その姿は、まるで精神科の患者のようだった。
「凛!」
そんな凛の姿を見たマーキスは、凛に駆け寄り思いっきり抱き締めた。
マーキスの細い腕からは考えられないような力で抱き締められた凛は、苦しさのあまり、ぐぇっ、とアヒルのような声を漏らす。
「マーキス、苦しいよ」
凛はやっとのことで声を出した。
だが、マーキスはその力を弱め様とはしない。
「ルイ元帥、そろそろ離れてあげないと凛が窒息死してしまいますよ」
李楼がそう言うと、マーキスはしぶしぶ凛を離した。
やっと解放された凛は、胸いっぱいに空気を取り込む。

