「李楼!」
李楼は自分の名前を呼ばれ、そちらを振り向いた。
そこには、マーキスが早足で近づいてくる姿が見えた。
「ルイ元帥」
「あぁ、医療班長と一緒だったんだ。凛は?」
「中で着替えてます」
「そぅ」
マーキスはそう言うと中に入って行こうとした。
李楼はそれを遮った。
「何?李楼」
マーキスは不思議そうな顔をして聞いてくる。
「凛に慎と京のことを言いますか?」
李楼は物静かに問い掛けた。
マーキスは少し考えた。
「凛は倒れている慎と京を見たんだ。はっきり言ったほうがいいだろう」
「・・・そうですか」
マーキス、李楼、医療班長。
三人の思いは同じである。
慎と京を失った悲しみ。
それを凛に伝えるつらさ。
それを聞いた凛の反応への恐怖。

