聖職者


「当たり前じゃない。私は貴方だもの」

実際の凛はすごく奇妙な感覚に陥った。

自分が問うてくるのだ。

それに、自分の姿をした者が自分の命よりも大切な仲間を殺す瞬間も見た。

「(お前誰だ?!)」

「だから言ってるじゃない、私は貴方よ」

「(違う!!)」

凛は力のかぎり叫んだ。

「うっさいわね」

夢の中の凛は肩耳を押さえ、いかにも不愉快そうな顔をした。

そして、京介にしたのと同じように、刀を凛に差した。

「(っ!!)」

刀の冷たさを一瞬感じ、すぐに激痛が襲ってくる。

何よりも、刀を抜かれる瞬間に痛みが増すのは、堪え難いものだった。

実際の凛は刺された場所を押さえうずくまる。

だが、その場所を見て驚いた。

血が出るどころか、傷口さえないのだ。