聖職者


ずぶっと言う耳障りな音を立てて、夢の中の凛は刀を抜いた。

京介の胸部からは大量すぎるほどの血が溢れていた。

刀を抜かれた京介の体はグラリと傾いだ。

即死だったろう。

気が付けば、慎の呼吸も止まっていた。

実際の凛は脱力し、ガクンと膝を付いた。

「(・・・な、んで?)」

まさに声にならない声で呟く。

漆黒の大きな瞳からは、止めどなく涙が溢れた。

それを夢の中の凛はまたも一瞥する。

「今の気分はどう?」

夢の中の凛が聞いてくる。

「(・・・お前、やはり私が見ええているのだな)」

実際の凛は思いっきり睨んだ。

夢の中の凛はくすくすと笑いだす。