聖職者


「(やめろ!!)」

実際の凛は大声で叫ぼうとした。

だが、声など出ない。

唯一聞こえているような人物、夢の中の凛は一瞥をくれると腰に差した自らの武器に手を掛けた。

「(まさか!!)」

実際の凛は最悪のシナリオを浮かべる。

今、この食堂で武器を持っているのは恐らく夢の中の凛だけだろう。

普通、食堂になど武器を持ってこないからだ。

つまり、慎も京介も丸腰なのだ。

「凛?」

慎が夢の中の凛に声をかける。

「(頼む、慎!そいつを止めて!!)」

実際の凛は聞こえない声で叫んだ。

慎が夢の中の凛の肩に手を置こうとした時、

夢の中の凛は瞬時に慎を切り付けた。