聖職者


「凛、ひっで〜」

慎は少し不貞腐れたように言った。

京介は二人の様子を微笑ましく見ている。

「・・・それより」

凛は食事中の箸を置き、真面目な顔つきをして二人に向き直った。

「ゲームしない?」

「ゲーム?」

慎が聞き返してくる。

三人を眺めている凛は、その行動に疑問に思った。

「(こんなこと言ってない!)」

そう、物事は実際と違う方向に進んでいた。

凛はとてつもなく悪い予感がして、三人を止めるべく叫ぼうとした。

だが、声が出ない。

実際の凛が何度が叫ぼうと試みていると、夢の中の凛がちらりと実際の凛を見た。

目が合った。

実際の凛はどきっとした。

夢の中の凛には、まるで自分が見えていて声も聞こえているようなのだ。

同時に、夢の中の凛はにやりと、何とも言えない不適な笑みを浮かべた。

実際の凛は背筋が凍る思いをした。