聖職者


「これは・・・」

慎が遺体を見つめながら言う。

「あぁ、魔獣だ」

京介が答えた。

「でもどうやって?気配は無かった」

魔獣が居れば、それなりの気配がある。

だが、この魔獣にはなかった。

気配を消せるのはBランク以上だけなのに。

「(まさか、Bランクが・・・?)」

慎の背中に冷たい汗が流れる。

京介も同じ考えに至ったようだ。

「慎!他の探索班員が危ない!」

京介はそう言うと手早く遺体となった探索班員に幻視術をかけた。

これは魔獣に食われないためだ。

そこで、京介は気付く。

この魔獣は、なぜ人間を食べなかった?

魔獣は食べた人間の量により強さが増し、ランクがあがる。

人間を餌とし、エネルギーを得るのだ。

そのため、食べることは必至となる。

まさか、また異常な魔獣が出たのか?