薄暗い夜中、空には輝くばかりの満月。
人などいるはずが無いその公園で、彼らは任務についていた。
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「なぁ、京。どうして今回の任務に聖職者が必要なんだ?」
慎は少なからず不満を含んだ声で京介に聞いた。
「本部長の話を聞いてなかったの?探索班員の護衛だよ。最近の魔獣はなんだか変なんだ」
「変?」
「うん。Dランクなのに異常に強かったり、Cランクなのに術を使えるやつが現れたようなんだ」
「Cランクで術!?なんだよ、それありえなくない?」
慎は驚いて思わず京介に振り向いた。
京介は頷いた。
今まで術を使えた魔獣はいない。
つまり、Bランクの魔獣では術は使えないのだ。
科学班の推測ではAランク以上でなければ使えない。
慎は内心ため息をつく。
慎自身、異常に強いDランクに遭遇していた。
先日、凛が相手をしていたあの魔獣だ。
あれは凛の戦い方にも問題があったが、明らかにDランク以上の強さだった。
あのタイミングで凛の元に行っていなければ、凛は確実に殺されていた。