「まぁ安心しろ。お前みたいなガキは俺の守備範囲外だ」
「・・・」
もう口が聞けない。
なぜだろう、この男と喋るとすごく疲れる。
「それより早く本部に帰るぞ。本部長が早く帰ってこいって言ってたぞ」
「本部長が?どうして?」
それを聞いて凛は目を見開いた。
凛は以前にも本部長に呼ばれたことがある。
任務が終わったら必ず本部長室に寄り、報告を入れるようにと叱られた。
報告の再、本部長と聖職者は顔を合わせる。
そこで、本部長は聖職者が怪我をしていないか、何か変ったことは無いか確認をするのだ。
呼び出された時は、数回任務の後に報告を入れ忘れたのだ。
「今回はまだ任務が終わってないし」
「何かしでかしたんじゃねぇ?まぁ、凛も俺がこなきゃやられてたし」
そう言って、慎は闇に向かって歩きだした
「ちょ、ちょっと!」
「なんだよ」
「もう帰るのか?」
「当たり前だろ。俺、遅くなって本部長に怒られるのやだもん」
「早いよ〜」
凛は焦って立ち上がり、焦ったせいかモタモタと刀を鞘に戻す。
「早く帰ろうぜ」
「まって〜」
そうして、二人は闇夜に消えていった。
あとには、大きく、妖しくも美しい満月が輝いていた。