何も聞こえない
見上げれば、ある筈の月は無く
代わりに僕の吐いた息が
ゆらゆら揺れながら空に向かって
上がって行く様が見える
僕は魚?
違う
僕は人間
だとすれば
もうここにいるのは限界なのに
早く行かなければ
僕を覆う膜はうねうね動きだし
固く軟らかく
まるで生きている様な
早く行かなくちゃ
だけど
僕の足に張り付く何かが
僕を引き止める
壁は揺れる
僕に迫って
押し出そうと
僕は
進みたいのに
早く 早く
早く 光の先へ
そして僕は
小さく泣いた
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