パタパタと歩く度に音がするのは、踵を踏んである上靴が歩く度にスリッパみたいに上下に動くからだ。
その音を耳にしながら、ぼんやり歩いていると、また思い出してしまう遼の話。
『アイツ、高校入ってから続けざまに嫌な目にあってんだよ。』
同時に思い出すのは、
アイツの…
光のはにかむような笑顔と
『電車に乗ったら若い兄ちゃん達に囲まれたり』
震えて脅えた姿。
『それが怖くてバスに乗れば痴漢に遭うし。』
あの小さな体で、
『すっかり怖がるようになっちまった。まぁ、オレやお前みたいにガツガツしてねぇのはいいみたいだけどな。』
汚い男の欲に、巻き込まれたのか?
