恋もよう

ギリッとぶつけたままの拳をまだ更に握り締めると、煙草を持っていた手だったために、フェンスの隙間から折れ曲がった煙草が落ちていく。

…その状態からしばらく動かなかった蓮だったが、

「…あ?」

しばらくして、ぶつけた痛み以外に感じるものがあり、自分の手を見るとポタポタと滴り落ちる自分の血。
フェンスの一部分から針金が飛び出していたらしく、思ったより深くえぐってしまったらしい。


「チッ…」

押さえてもなかなか止まらない血に、舌打ちすると気怠げに歩き出した蓮。
点々と廊下に血痕を落としながら向かう先は保健室。