サラサラとペンを走らせ、メモ用紙のような紙切れに恐らく練習メニューを書いたのか、その紙を渡しながらニッと笑う遼。
不服そうな声を上げている沢渡に笑顔を崩さないまま勿論!と言い切る。
「ヨロシクな〜マネージャーっ、…と、ヒカリー。」
沢渡はマネージャーだったのか、と頭の中で納得していた蓮の前で、ハッと思い出したように光に視線を移した遼が、なぁに?と首を傾げる光に
「今日から送ってやれねーけど…平気か?」
語尾には一抹の不安か、心配が込められた声音で問いかける。
確かに強化練習とやらが始まると、夜遅くなるだろうし、第一待つ場所もなくなる。
光は独りで先に帰るしかないのだ。
「平気!明るいし、大丈夫〜。」
明るく返した光に、そうか?とまだ心配そうな遼。
──そんなに心配なら近くに置いておけよと言いそうになったが、そんな立場じゃねぇしとパンを口に含むことで、思った事を言葉にしないよう飲み込む。
