「おう!また後でな!」 そう言って教室から出て行く遼を見送った後、机に突っ伏して思い出すのは……小さな彼女。 ──昨夜送っていった家は真っ暗で、人の気配の感じられない家だった。 仕事で夜遅いんです、と小さく笑った光は、きっと寂しいんだろうと嫌でもわかる。 そんな思いをしているようには全く見えなかったから意外で仕方なかった。 むしろ、自分の家のが煩い。 …いつも、友達に囲まれて笑っていたから、そんなこと思いもしなかった。