あの頃はまだバイトも毎日入れてたから、遼と帰ることもなかったし、気付かなくて当たり前。 でも、一言ぐらいあってもいいんじゃねーか?と、不満に思ったのは事実だ。 毎日一緒に帰ってたとか、知らねーし。 彼女つくってたとか、聞いてねーし。 『リョーくん』と親しげに呼んで近付いてきた小さな女。 ふわりと香った甘い匂いに、もう女はいらないと思ったはずの心が揺れた……。