恋もよう


「リョーくん、勝ったの?」

「当たり前だろー?現役野球部っ!それにレンもいたしな!」

遼の呼びかけに振り向き、近付いてきたのは光だ。
言葉の終わり頃、蓮を親指でグイッと指差す遼に、光は引かれるように見上げる先にいた蓮。
パチリとあった視線は、蓮によってすぐに逸らされてしまった。

「…先行くぞ。」

「お?おぉ、…でさヒカリ、今日の帰りなんだけど…」

光と遼、二人を残して蓮は立ち去る。
背後から聞こえてくる遼の声は、校舎に入る頃には聞こえなくなった。

(……次、サボるか…)

更衣室に向かって着替えを済ませると、教室ではない方向に向かう蓮。
体育の後、ということもあるが、何より何故か胸がモヤモヤしていたから。