お兄ちゃんは、無言のまま、 ずっと話を聞いてた。 「比奈、」 お兄ちゃんが口を開く。 「お前は、比奈は・・・。 気持ちを伝えたくても、 伝えられなかったんだろ?」 あたしは、ただ頷くだけ。 「気持ちは、言わなきゃ駄目だ。 そんなんじゃさ、伝わるものも 伝わらないまんまだぞ?」 奏は誤解してるし、と お兄ちゃんが付け加える。 そっか。 あたしは、気持ち、伝えてない。