「最初からそう聞けばいいのよ。ほら、話してあげて。」
「うん…その伝承はひいお爺ちゃんの代から伝わってるお話なんです。ある一定の場所に女の子が立っていて『どうしたの?』と、尋(たず)ねると『星はいくつあるの?』と聞いてきて、答えると『それじゃ、世界はいくつあるの?』と続けて聞いてきます。その問いに答えると別の世界であるパラレルワールドへ飛ばされてしまうらしいんです。」
「飛ばされたら帰ってこれないだろ。なのにそんな話が伝わってるって言われても信憑性にかけるよな。」
「ちょっと!真也!最後まで聞きなさいよ。」
「パラレルワールドに飛ばされても帰ってくる方法があるらしいんです。でも、その方法を教えてしまったら聞いた人が飛ばされた時、苦労するからという理由で伏せられています。市原さんはこの話、信じますか?」
「俺は信じない。」
「真也っ!」
「紗耶香、お前が怒るのは分かってる。静香が真剣に話してくれたしな。でも、俺は噂だのジンクスだのに惑わされて生き方を変えられるのは嫌だ。自分の人生ぐらい自分で決める。後悔しても迷ったとしても自分で歩んだ道を信じて進むだけだ。」