町の片隅で~ファーストストーリー~

「あんた、今、誰かと話してなかった?気持ち悪い冗談は顔だけにしてよね。」
「おう、すまん…。」
今、話すべきなのか明日、話すべきなのか迷ってた。
「えっ?何それ?ノリ悪いわね~、最低~。変態っ!」
「何でそこまで言われなきゃなんねぇんだっ!」
「もう、二人共止めてください!市原さん、何かあったんですか?溺れてたみたいにも見えましたが。」
「あのさ、心配して来てくれるのはいいけど…見えてるから…そのタオル意味ないからね。」
「キャー!市原さんのエッチ~!」
「あぁ~あ、泣かしちゃった。最低~。」
「お前は何なんだよ。それは。」
「フフ~ン、バスローブ。似合うでしょ?」
「そうだな、似合ってるよ。てか、滑って落ちても知らねーぞ。すでにその格好で滑ってるけど。」
俺は逃げるようにして脱衣場へ向かう…はずだった。
「あっ!コラー!待ちなさい!あっ…」
「ん?危ないっ!」
異変に気がついて振り返った時、姉貴の体が反り返って足が地面から離れてた。
俺はとっさに風呂場のタイル上を腹で滑り、姉貴の落下地点へ潜り込んだ。