町の片隅で~ファーストストーリー~

「あれ?…何でいないんだ?イリュージョンか?それとも月の使者が来て連れて帰ったのか?」
不思議に思ってると、三人の耳に共通の言葉が聞こえた。
「もう、大丈夫じゃ。」
耳元で囁かれるほど怖いものはない。
「逃げろ~!」
「キャー!」
「やめてー!」

三人は一斉にさっきの部屋へ飛び込んだ。
「もぉ~!何なのよ。」
「痛てっ。何で俺を殴るんだよ。でもさ、よく考えるとさっきのじいさんいい人だったんじゃねぇか?」
「おじいさん?私達が見たのはフードを被ったパーカー服の男の人ですよ?」
「…ぎぃやぁぁぁ!…グハッ!」
「いきなり大声出すなっ!ビックリしたでしょ!」
俺は妹の証言とさっきのじいさんの言葉。
それに部屋に入った時、じいさんが窓の外を眺めてた事から大体あの部屋で何があったのか分かった気がした。
憶測に過ぎないが、じいさんは先祖かなんかでこいつらが見た男は悪霊だったんだろう。
それで、俺達が行く前に退治して窓から悪霊がどこに行くか見てたんだと思う。
お化け嫌いの二人に言っても信じてもらえないだろうし、言う必要もない。
ただ、墓参りだけは行かせないとな。