単細胞の猿ゴリラを連れ出す事に成功した俺らは自らの手で捕獲にかかる。
暴れる猿ゴリラは手強い。
2対1なのに圧(お)され気味だ。
でも、何かしら弱点はあるもの。
例えば、サメなら鼻先を触れば大人しくなるし、イノシシなら直線上に立たない限り問題はない。
ただ、ゴリラの生態なんて知るわけがない。
そんなマニアックなもん知ってる奴なんか飼育係のオッサンぐらいだろ。
それに、頭が猿で体がゴリラという扱いの難しそうな新種はどっちの脳みそを持ってるのか割って調べなきゃ分からない。
何はともあれ、今は飼育係のオッサンが来るまで持ちこたえるしかなかった。
「お前は左、俺は右から行くから!」
「了解!任せろ!」
ボロボロの体でいろんな作戦を試した。
効いてるとは思うが、なかなか倒れない。
心が折れそうになり、新たな作戦を考えていると、一人の赤髪がこっちへ向かってくる。
猿ゴリラが邪魔であまり見えない。
時々、猿ゴリラの腕から姿が見える程度だ。
「横山っ!お前も潰されてぇのか!」
「…やってみろ。」
横山(よこやま)って奴が喋った瞬間、窓から傍観している雌馬達が一斉に鳴いた。