「野球を英語で書くとどう書くか分かる?」
「当たり前だ、baseball(ベイスボール)。」
「そう。それをローマ字読みすると、ba(バ)se(セ)ba(バ)で、最後の2文字はアラビア数字で読むとll(11)ってなる。だからバセバ11なのさ。」
頭が良いのか悪いのか分からないが、これだけは言える。
イカレてると。
「もう、話しても良いかのぉ?」
シビレを切らした大橋の爺さんが呆れた顔で割り込んだ。
「あぁ、是非、話を聞かせてくれ。」
爺さんは首をかしげてからスローペースで話し始めた。
ちんたら話す爺さんの声がだんだん子守歌に聞こえてくる。
気の遠くなるようなつまらない話と丁度いい室温が眠気を誘う。
「オラッ!クソガキっ!」
人が気持ち良く寝てたのにさっきの猿ゴリラが激しくドアを開けて叫びやがった。
ビックリした俺は苛立ちを一気に解放する。
「うっせぇ!」
「やかましい!」
俺の声とコケ頭との声が重なり合い、音量が上がった。
「おい、まだ話は終わっとらんぞ!」
人のいい爺さんを巻き込みたくなかったからコケ頭とアイコンタクトをとり、窓からグランドへ飛び出した。