「そうだ!今日は一緒に帰れそうにないんだ。悪い、んじゃまた明日な。」
「えっ!おい!市原~!」
柴神達に見つかったら何されるか分かんない。
俺はチャイムが鳴り終わる前に教室を飛び出した。

いつもより長く感じる廊下を走ってると、ある事に気がついた。
コウがいつの間にか“シン”じゃなく、“市原”と呼ぶようになってた。
少し気になったが、今はそれどころじゃなかった。
階段を下りるとすでに帰宅途中の生徒が玄関に群がってた。
「マジかよ、ここで止まってる方が危ないな。」
裏門から出れたら問題ないが、またクマバチの大群に襲われる可能性がある。
時間を無駄を出来ない俺は意を決して玄関へ突っ込んだ。
胸の鼓動が早くなるのを感じながら何とか脱出に成功した。
「ヨッシャ!走るぜっ!」
玄関前でガッツポーズを決め、走ろうとした時だった。
「もぉ!早く行ってよ!」
立ち止まった俺が悪いんだが、押すことはない。
「押すなっ!クソっ…うわっ!」
「誰がクソだってぇ?」
俺を押したのは下川の姉貴だった。