町の片隅で~ファーストストーリー~

予想外の訪問者につられ、こんなに早く学校に来たのは初めてだ。
「オッス!お前、早いなぁ。いつもこんなに早く来て何してるんだ?」
「…これ読んでる。」
ハルが持ってた本のカバーを見せてきた。
スカイブルーの配色で中央に“春夏秋冬~それは奇跡の幸せ”とデッカい題名が書いてある。
「小説か…俺には縁のない物だな。んじゃ俺、寝るから昼休みになる直前に起こしてくれ。」
「…分かった。」
夏が近いせいだろう。
日差しが強く、背中が火照って仕方がない。
眉間にシワをよせ、我慢強く寝ることだけに集中した。

「ウッピャ~!」
「何だよ!うっせぇなぁ~。」
「昼だぜ。食堂行こうぜっ!」
訳の分からん雄叫びで起こされ、寝ぼけまなこで食堂へ。
「おばちゃ~ん!僕、唐揚げ定食!お前はどうする?」
「そうだなぁ、んじゃ俺はカレーうどんにする。あそこに座ってるから持ってきてくれ。」
「仕方ないなぁ。あれ?おばちゃんまた痩せたでしょ。磨きがかかってるねぇ。」
「あら?そぉ?あんた良い子だから唐揚げオマケしといてあげるね。」
「やった~!ラッキー!」
どんだけ腹空かしてんだ。