「ちょこまかと逃げやがって!男ならかかってこんかっ!」
「女を殴れるかってんだよ!」
「どこまで侮辱したら気が済むんや!」
「よっと!侮辱なんてしてねぇよ!それに、あっちのねぇちゃんに聞いてからお前にも聞いてやるつもりだったんだ。」
「お前と喋っとるとイラついてくるゎっ!」
「そうかよ!じゃ、好きにしろ!」
こいつはパンチしかしないから避けやすかった。
それに手加減をしてるような気がする。
入口で背中を掴まれた時と何かが違う。
俺は、こいつの本気を見てみたくなり、突き出した手を捕まえて抱きしめてやった。
何で抱きしめたかは謎だ。
「えっ?おい…。」
目つきは悪いままだが、戸惑う姿は悪くない。
「そんなに怒るなよ、おチビちゃん。」
挑発的発言の後、頭を数回撫でてやった。
そしてすぐに距離をあけ、ファイティングポーズで噴火の時を待つ。
「あれ?おチビちゃん?お~い!怪力女~!ん?」
何を言っても反応しない。
怒らすつもりの行動で傷つけてしまったのかな?
心配になって近づいた時、思いがけない光景を目の当たりにした。