こっちへ歩いてくる小麦色の女子生徒もまた可愛らしい顔立ちをしてた。
俺は一度足を止め、また走り出す。
「調子に乗ってんじゃねぇぇぇ！」
女子生徒の横を走り抜け、ナイフを構えたワンコロの顔面にヒザを打ち込んでやった。
「ありがとう。キミのお蔭で助かった。」
「いや、俺は帰ろうとしてただけだから気にしないでくれ。」
「フフッ、面白い奴だな。キミ、名前は？」
暴力女にしては品がある。
品がない暴力女は下川の姉貴と走ってきたこいつだけだ。
「お前、行くなって言うたやん。まぁ、無事で何よりやわ。なぁ？ヤシン。」
「そうだな。それでさっきの話の続きだが、名前を教えてくれないか？」
「俺は市原 真也だ。お前は？」
「さっきから態度デカいなぁ。一発ど突いたろか？」
女とは思えん言いようだ。
「シバ、少し黙っててくれないか？今、私と話しているんだ。連れが迷惑をかけて済まない。女子には優しい奴なんだが、異性には厳しくてな。私は野神 絵里香(のがみ えりか)でこっちが連れの柴神 恭子(しばがみ きょうこ)。私達は中学からの親友なんだ。」