「これ、どういう意味なんだろ？」
「何だよ！焦らすなよな。そういえば、お前部活は？」
「あっ！忘れてた！行かなくちゃ！はい、これ。また解読出来たら教えてね！じゃあ、またね！」
あわただしい奴だ。
「あっ、これを読んだんだったらあいつに協力してもらえばいいや。」


その後、教室へ鞄を取りに向かった。
部活に励む生徒の声のみが廊下を走り回る。

教室には当然、誰もいない。
机には『先に帰るぞ。コウ＆ハル』と書かれた手紙が貼られてる。
破るなら綺麗に破って書けと突っ込みたくなるほど汚くちぎられたノートの切れ端に思わず笑いが出た。
その笑いはバカにする笑いではなく、愛情のこもった笑いだ。
俺には友達と言える友達が居なかった。
小さい頃から家庭は崩壊寸前で、親父と母さんは冷戦状態が続いた。
中学２年の頃、再び家庭内戦争が勃発し、家族の縁は壊滅してしまった。
それからは学校には行かず、家にもあまり帰らない日々を送った。
毎日、喧嘩に明け暮れ、腹が減ったら万引きをして空腹をしのいだ。
そして、高校生になった俺は田舎の婆ちゃん家から通えるこの学校へ入学したんだ。