ぞろぞろとギャラリーは増え続けていった。
「見てんじゃねぇぞ!コラっ!」
ニヤニヤしやがるクソ馬達に噛みつきまくる。
「見せつけてるのはお前だろ。不良は手が早いなぁ。」
ギャラリーの中のいきった馬が鎖で繋がれた俺を挑発してきた。
首輪を噛みきろうと何度も試みるが、激しい痛みが腕を襲う。
その時、またしてもあの子に助けられちまった。
「ちょっと!桃山さん!もう、授業始まるよ!早く自分のクラスに帰りなっ!市原君だって迷惑してるでしょ!そんな事してたら嫌われちゃうよ。いいの?」
「嫌ぁ~、でも、もっとこうしときたいのぉ~。」
「甘えても駄目。そんなにしたいなら放課後にすればいいでしょ。」
宮元の説得でふてくされるように離れ、俺の腕をガブッと噛んで走って消えた。
「痛てぇ~、酷い目にあったぜ。宮元…だっけ?サンキューな。」
「どう致しまして。あまり世話を焼かせないでよね…なんちゃって。さぁ、席に着きましょう。」
「おう。」
俺の席は窓際の後ろから二番目。
後ろの奴は遅刻してるらしい。
普通の奴であってほしいと願う。