「市原君ってどの子ぉ~?」
コウの話に飽きだした時、見たこと無い女子生徒が俺を探してる。
俺は黙って席を立ち、その女の子に声をかけた。
「市原探してるのか?」
「そうよ。悪い?」
無愛想で生意気な奴だ。
「悪かないけど、どういう関係なんだ?」
「あんたに話してこっちにメリットあるの?それより、早く市原君を呼びなさいよ。」
ふんぞり返って偉そうなこいつはいったい、何者なんだ?
「よく中庭に居るのをみるが、探したか?」
「探したわよ!どこに行ってるのっ!?早く言いなさい!」
「ここに居ると言えば居るし、出て行ったと言えば出て行きたがってると言えるな。」
「あんた…名前は?」
「えっ?俺?俺は…」
正直に言おうか迷ってると、空気を読めない妄想癖のバカが現実世界へと還(かえ)ってきた。
「おい、シン!聞いてんのかよ…こいつ誰だ?」
「シン?ちょっと、あんた。市原君はどこ?」
「ここ。」
何でさらりと指を指すんだよ。
まだこの女の目的を聞いてないのに。
「あんたが市原君?…何で最初に言わないのよっ!」
これまで会った中でいきなり怒る奴は大抵、狂犬病だった。