その後、声を頼りに発声主を発見した。
黒くて長い髪が特徴の垂れ目の女の子だった。
「…何してんだ?」
呆れた目つきで聞いてみる。
「…髪切ってるの。」
「そんなの見れば分かるっ!その人形はどうした?」
「…あそこにあるよ。」
指差す先には『危険!さわるな!』と書かれた貼り紙がクロスしてあるガムテープの中心に貼られてある。
「ヤバいんじゃないか?」
「…いいの。」
喋り方といい、態度といい、誰かに似てる気がして仕方ない。
「そういえば、制服は?」
「…聞いちゃダメ。」
「そうか…んじゃ俺はもう行くな。」
「…バイバイ。」
素っ気ない感じで分かった。
ハルに似てると。

それから職員室へ行き、自分のクラスと席を教えてもらった。

「えっと…俺の席は…どれだろ?」
独り言を呟き、自分の席を探す。
「市原君はここよ。」
「あっ、ありがとう…ってあんた誰?」
今、思うと失礼過ぎだ。
そんな俺にもかかわらず、笑顔で答えてくれた。
「私はクラス委員長の宮元 雫(みやもと しずく)。これからヨロシクね、不良君。」