連れられてやってきたのはデッカい豪邸だった。
庭には鯉が泳ぎまくる池があり、その端には鹿威し(ししおどし)が備え付けられてる。
※鹿威しとは竹製の筒の先端に水を溜め、重力で水を落し、もとの位置に戻る時にコツンと竹の音を響かせる庭園用のからくり。
しかし、部屋の中はいたって普通。
ただ、部屋の数が12個あるから驚きだ。
俺は怪力女の部屋で手当てされた。
「痛てて。雑にするな。」
「男でしょ、我慢して。」
「お姉ちゃん、私がするよ？」
「静香はいい。お茶でも入れてきて。」
「妹と変わってくれないか？」
「嫌よ。私がやった傷もあるんだから私がする。」
なかなかの頑固者だ。
「そんな頑固だったら嫁に行けねぇぞ。」
「うるさいわねっ！そんな事…分かってるわよ。」
殴られるかと思ったが、そんなに落ち込むとは思わなかった。
「冗談に決まってんだろ。そういえば、お前、名前何て言うんだ？」