妹の説得で化け物は静まったが、まだ半信半疑でこっちを睨みつけてる。
「ごめんなさい。お姉ちゃんは気が弱い私を守ってくれてるんです。」
「痛っ!もっと優しく拭いてくれ!」
「拭いてもらっておいて優しくしろだぁ?」
「ちょっと!お姉ちゃんはいいから!」
「お前の姉さんも狂犬病か?」
「誰が狂犬病だっ!」
「グハッ!」
「止めてっ!あなたも挑発しないでください!」
暴力的な女は初めてあった。
これはそこら辺の不良より質が悪い。
例えるなら導火線の短いダイナマイトだ。
微かな火種を見逃さず、一瞬で爆発しちまう。
しかも破壊力が凄まじい。
パンチ一発でむせかえる程に。
「俺が悪かった。許してくれ、怪力女。」
「今度は怪力女かっ!」
「ぶはぁっ!」
「もう、勝手にしてください。私、帰ります…はっ!お、お姉ちゃん…。」
妹の声に反応して怪力女の手が止まった。
視線を辿った先に居たのは大群を率いたさっきの奴らだった。