10時47分。
缶コーヒーを片手に校門を乗り越えて体育館へ向かった。

「おい、そこのチビ。ちょっとツラ貸せや。」
「何の用だ。歓迎会でも開いてくれるのか?」
ゴリラのような体格なのに顔は猿そのものだった。
狂犬病にならないように注意をしながら猿ゴリラとその仲間達が居る体育館横へ。
「今は忙しいんだ。餌が欲しいなら飼育係のオッサンにでも頼め。」
「何だと!コラァァ!」
どうやら言葉は通じるようだ。
無駄に吠える猿ゴリラの口から無数の唾液が顔に付着する。
なんとも不愉快な話だ。
「テメェ、なめてると痛い目みるぞ。」
胸元を掴み、脅しのように聞こえる高度な吠え方を披露する。
だが、それは知能が低い証拠だ。
もう少し脳みその構造が良ければ無駄なエネルギーを消費せず、眼力だけで恐怖心を植え付けられるのに。
大抵の猿は知能が高い。
哀れな猿に捕まった俺は古い家電製品を扱うように奴の脳天に刺激を与えた。
たまに接触が良くなり、一時的だが普通に使えるようになる事もある。
しかし、奴の頭は完全にショートしちまった。