町の片隅で～ファーストストーリー～

静かに立ち上がり、昨日の病室へ向かった。
「おい！こっちだ。部屋を変えてもらったんだ。」
オッサンに着いていった先には個室で日当たりがいい部屋だった。
「えっ！こんないい部屋になったのか？入院費もまだ払ってないのに何で？」
俺が困惑してると、オッサンが頭を押さえつけてきて言った。
「あんな暗い場所じゃ治るものも治らねぇ。だから俺が話をつけてきた。それからガキは金の事を気にするな。お前はババアの相手をしてればいいんだよ。」
こんなにオッサンが俺の事を思ってくれてたとは知らなかった。
この時、初めて人に頼ってみようと思えた。
心からのありがとうを添えて。