数分後、担架に乗せられた婆ちゃんが看護婦数人に押されて出てきた。
重々しい空気が辺りを包み込む。
「ご家族の方ですね?こちらへどうぞ。」
看護婦に連れられて病室までやってきた。
婆ちゃんのベッドは廊下側の日当たりの悪い場所だ。
「また、後で呼びに来ますのでしばらくお待ち下さい。」
看護婦が出て行くとオッサンが飲み物を買ってくると言って後を追うように出ていった。
「んじゃ俺もオッサンを手伝いに…」
病室を出ようとした時、キョンさんに腕を掴まれた。
「市原さんはお婆さんに声をかけてみてあげて下さい。あの人なら大丈夫ですから。それに、ずっとこっちを見てますよ。」
婆ちゃんの顔をこんなに見たことなかったが、昔に比べると大分弱々しくなっていた。
「よっ。気分はどうだ?」
「良い訳なぁ~だろ。それより真坊、あたしゃ~死んじまうの~かぁ~?」
「な、何バカ言ってんだよ!婆ちゃんが死ぬわけねぇだろ。普段あんなにうっせぇのに。」