バスで10分の所にあるのだが、そんなの待ってる暇がない。
元気だと言っても年寄りには違いなく、いつ迎えがきてもおかしくない。
「おい!大丈夫か?」
「ハァハァ…私の事はいいから先に行って下さい。この道を真っ直ぐ行けば左手に病院があります。」
「分かった!」
焦る気持ちを抑え、必死で足を動かした。

「すみません!今、婆さんが運ばれてきませんでしたか?」
「ご家族の方ですね、今は救急治療室で治療中なのでこの廊下の突き当たりでお待ち下さい。」
長い廊下の先にはオッサンとキョンさんそれに紗耶香が不安げな表情で治療室を見つめてた。
「真也!」
「紗耶香!婆ちゃんはどうなんだ!」
「今はまだ…」
「何がどうなってんだよっ!」
不安が募り怒りへ変わった。
俺がもっとしっかりしていれば婆ちゃんの異変に気付いてやれたはず。
いてもたっても居られず、コンクリートの壁に拳を打ちつけた。