「真也～？ヤシン～？あっ！いたいた！もぉ、姿が見えないからずっと探してたのよっ！」
恋に縁が無さそうな奴が大声で会話を中断させた。
「ちょっと暑くてな。一人では心細いから市原に付き合ってもらっていたんだ。」
女同士の方が話しやすいだろうが何故か紗耶香には話そうとしなかった。
「スイカを切ったからみんなで食べよう。」
「はいよ。んじゃ戻るか。」
紗耶香が背中を向けた瞬間、絵里香が俺に耳打ちしてきた。
「誰にも話さないでくれ。特に紗耶香には。」
俺は静かにうなづいたが、紗耶香に隠す理由が分からなかった。

その後、帰るまで俺と絵里香が会話する事はなかった。